病院で16年間働いていた頃の私は、企業で働く自分を想像したことは一度もありませんでした。
看護師として働くなら、病院で働き続けるものだと思っていたからです。
そんな私が40代で企業看護師(産業看護師)へ転職し、働き始めて感じたことがあります。
「私には、この働き方が合っていた。」
もちろん、病院勤務にもたくさんのやりがいがあり、16年間の経験は今でも大切な財産です。
でも、企業看護師になったことで得られたものも、たくさんありました。
今回は、病棟16年勤務の私が、企業看護師へ転職して「良かった」と感じていることを7つご紹介します。
私が企業看護師(産業看護師)になって良かったと感じる7つのこと
子どもとの時間が増えた
私が企業看護師(産業看護師)へ転職して、一番良かったと感じていることは、子どもとの時間が増えたことです。
病院勤務時代は夜勤や休日出勤があり、学校行事に参加できなかったり、子どもが学校から帰宅する頃に、
「夜ご飯は〇〇だよ。おばあちゃんに言ってあるからね。おばあちゃんが来てくれるからね。」
と声をかけて、夜勤へ向かうことがよくありました。
夫も夜勤があり、不定休だったため、子どもたちだけで夕食を食べたり、両親がそろって家にいない夜や休日も珍しくありませんでした。
当時はそれが当たり前だと思っていましたが、今振り返ると、子どもたちには寂しい思いをさせていたのかもしれないと感じます。
企業へ転職してからは、土日祝日が休みになり、夜勤もなくなりました。
子どもと一緒に夕食を食べたり、学校行事へ参加したり、休日に家族で出かけたりと、一緒に過ごせる時間が増えました。
特別なことではありませんが、「今日、学校どうだった?」とゆっくり話を聞ける時間や、家族みんなで夕食を囲める毎日が、今では何より幸せだと感じています。
病院勤務にもたくさんのやりがいがありました。
病院で働いた16年間に後悔はありません。
たくさんの患者さんと出会い、多くのことを学び、一緒に働いた看護師たちは今でも大切な仲間です。
でも、企業看護師へ転職したことで、子どもとの時間や家族との時間という、病院勤務ではなかなか得られなかった大切な時間を手に入れることができました。
私にとって、この時間は何ものにも代えられない宝物です。
夜勤がなくなり、生活リズムが整った
企業看護師(産業看護師)へ転職して良かったことの一つが、夜勤がなくなったことです。
病院勤務では、日勤と夜勤を繰り返す生活が当たり前でした。
夜勤明けは眠気が強く、休日も生活リズムを戻すことに時間を使っていたように思います。
企業へ転職してからは、毎日ほぼ同じ時間に起きて、同じ時間に仕事へ行き、夜は家で過ごすという生活になりました。
最初はこの生活リズムに慣れず、不思議な感覚もありましたが、今では体調も整いやすくなり、休日も有意義に過ごせるようになりました。
もちろん、夜勤が嫌だったわけではありません。
夜勤は落ち着いて患者さんと関われる時間もあり、朝を迎えたときの「今日も無事に終わった」という達成感は、今でも忘れられません。
そして、今も夜勤を続けてくださっている看護師さんがいるからこそ、患者さんは24時間安心して療養することができます。
病院で夜勤をしている看護師さんには、本当に頭が下がる思いです。
だからこそ、これは「夜勤が悪い」という話ではなく、私自身のライフステージや家族との時間を考えたときに、企業看護師という働き方が合っていたのだと感じています。
「朝起きて、夜眠る。」
当たり前のようで、病院勤務の頃にはなかなかできなかった生活です。
今では、この規則正しい生活そのものが、転職して良かったと感じる理由の一つになっています。
「治療」ではなく「予防」の看護に携われる
企業看護師(産業看護師)へ転職して良かったと感じることの一つが、「予防」の看護に携われることです。
病院では、病気やケガをした患者さんに対して治療や看護を行うことが中心でした。
一方で企業では、社員さんが病気にならないように支えたり、健康を維持できるようサポートしたりすることが仕事になります。
健康診断の結果について一緒に考えたり、生活習慣の改善をサポートしたり、健康イベントを企画したりと、「病気になる前」の段階から関われることに大きなやりがいを感じています。
実は私は、もともと少し健康オタクなところがあります(笑)。
家族や自分自身の健康管理が好きで、栄養にも興味があり、普段から食事や生活習慣を意識してきました。
そのため、病院勤務の頃から「病気になってから看護するだけではなく、病気になる前から関われる仕事がしたい」という思いがありました。
企業看護師へ転職したことで、その思いを毎日の仕事の中で実現できています。
病院での看護も、企業での看護も、どちらも大切な仕事です。
ただ、私にとっては「予防」という視点で社員さんの健康を支えられることが、この仕事を選んで本当に良かったと思える理由の一つです。
社員さんと長く関われる
企業看護師(産業看護師)になって良かったと感じることの一つが、社員さんと長く関われることです。
病院では、患者さんが退院すると関わりが終わることも少なくありません。
一方、企業では同じ社員さんと何年にもわたって関わることになります。
健康診断の結果について相談を受けたり、体調の変化を一緒に見守ったり、時には仕事やメンタルの相談を受けることもあります。
最初は緊張していた社員さんが、少しずつ笑顔で話しかけてくださるようになったり、
「また来てもいいですか?」
と声をかけていただけると、「少しでも力になれたのかな」と嬉しくなります。
病院とは違った形ですが、人と長く信頼関係を築けることも、企業看護師の大きな魅力だと感じています。
自分で仕事を調整できる
企業看護師(産業看護師)になって良かったと感じることの一つが、自分で仕事のスケジュールを組み立てられることです。
病院勤務では、時間ごとに行う処置や検査、急変対応などがあり、その日の予定が大きく変わることも少なくありませんでした。
一方で企業では、健康診断の事後フォローや健康イベントの準備、健康情報の作成など、年間を通した大まかなスケジュールがあります。
「今週中に終わらせよう」「今日は健康診断の結果を確認しよう」など、自分で優先順位を考えながら仕事を進められることが、私には合っていました。
もちろん、社員さんの体調不良やケガの対応など、予定どおりに進まない日もあります。
それでも病院勤務のように、「この時間までに必ず終わらせなければならない」という場面は比較的少なく、自分のペースで仕事を組み立てられることに働きやすさを感じています。
病院では「時間に追われる毎日」でしたが、企業では「自分で時間を活かす働き方」に変わりました。私にとって、この変化はとても大きかったと感じています。
自分で考えながら仕事を進めることに最初は戸惑いましたが、今では「今日は何を優先しよう」と計画を立てながら働くことも、この仕事の楽しさの一つになっています。
新しいことに挑戦できる
企業看護師(産業看護師)へ転職して良かったことの一つが、新しいことに挑戦できたことです。
病院勤務では、患者さんへの看護が仕事の中心で、ExcelやPowerPointを使う機会はほとんどありませんでした。
企業へ転職してからは、健康診断のデータをまとめたり、健康イベントの資料を作成したり、メールやチャットで社員さんとやり取りをしたりと、これまで経験したことのない仕事がたくさんありました。
入社した頃は、正直なところ不安ばかりでした。
ExcelやPowerPointは思うように使えず、「私にできるのかな…」と落ち込むこともありました。
それでも、本を読んだり、分からないことはネットで調べたり、周りの社員さんに教えていただいたりしながら、一つずつできることを増やしていきました。
最近ではAIも仕事に取り入れ、資料作成や文章の整理などに活用しています。
病院で働いていた頃には想像もしていなかったことですが、「新しいことを学ぶ楽しさ」を感じられるようになりました。
年齢を重ねると、「今さら新しいことに挑戦するのは大変そう」と思ってしまうこともあります。
実は私自身も、新しいことに挑戦するタイプではありませんでした。
「平穏に毎日仕事ができればそれでいい。」
そんなふうに思っていた一人です。
でも、企業へ転職してからは、仕事を待つだけではなく、「もっとこうしたら良くなるかもしれない」「こんな健康イベントを企画してみよう」と、自分で考えて行動する機会がたくさんありました。
最初は戸惑うこともありましたが、自分で考え、挑戦した分だけ、新しい知識や経験が増えていくことがとても楽しく感じられるようになりました。
今振り返ると、企業看護師へ転職したことで、新しい仕事を覚えただけではなく、「自分から一歩踏み出す楽しさ」を知ることができたのだと思います。
でも、40代で転職した私でも、一歩踏み出せば新しい世界が広がっていました。
企業看護師へ転職したことで、看護師としてだけでなく、一人の社会人としても成長できたと感じています。
病院での16年間が今も生きている
企業看護師(産業看護師)になって改めて感じていることがあります。
それは、病院で働いた16年間は、今の仕事につながっているということです。
病院と企業では働く場所も仕事内容も大きく異なります。
それでも、救急外来やHCUで培った判断力、患者さんやご家族と向き合ってきた経験、16年間で積み重ねてきた知識は、今の仕事でも確実に生きています。
社員さんの体調不良に対応するとき、健康相談を受けるとき、メンタルの相談で相手の話に耳を傾けるときも、病院での経験があるからこそ落ち着いて対応できていると感じます。
私は企業へ転職しましたが、「病院看護師を辞めた」のではなく、病院で培った経験を、新しい場所で生かしているという感覚です。
転職すると、「今までの経験が役に立たなくなるのでは」と不安になる方もいるかもしれません。
でも、そんなことはありませんでした。
病院で学んだことは、一つも無駄になっていません。
むしろ、その16年間があったからこそ、今の私があるのだと思っています。
病院で過ごした16年間があったからこそ、今の私があります。
働く場所は変わっても、看護師として大切にしてきたことは何も変わっていません。
まとめ
私は病院で16年間勤務した後、企業看護師(産業看護師)へ転職しました。
転職したことで、子どもとの時間が増えたり、夜勤のない生活になったり、「予防」の看護に携われるようになったりと、たくさんの良かったことを実感しています。
一方で、病院勤務にもたくさんのやりがいや魅力があり、その16年間の経験は今の仕事にもつながっています。
企業看護師という働き方が、すべての看護師さんに合うとは限りません。
でも、「今の働き方を少し変えたい」「自分に合った働き方を見つけたい」と考えている方にとっては、一つの選択肢になると思います。
この記事が、これからの働き方を考えるきっかけになれば嬉しいです。
オフィスの保健室より☕
病院で16年間働いていた頃は、まさか自分が企業で働く日が来るなんて思ってもいませんでした。
転職することは、不安もあり、大きな勇気が必要でした。
でも、一歩踏み出したことで、新しい仕事に出会い、新しい仲間に出会い、病院では経験できなかった学びや気づきをたくさん得ることができました。
病院での経験も、企業での経験も、どちらも今の私にとって大切な財産です。
そして今は、自分のライフスタイルに合った働き方を選べたことで、仕事も家庭も以前より大切にできるようになりました。
看護師の働き方に「これが正解」という答えはありません。
だからこそ、自分や家族に合った働き方を選んでいいのだと思います。
もし今、働き方に悩んでいる方がいるなら、「こんな働き方もあるんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。




