はじめに
「企業看護師って普段何をしているの?」
と聞かれることがあります。
私自身も転職前は、保健室で体調不良者を待っている仕事なのかなと思っていました。
でも実際は、ケガや体調不良者への対応だけでなく、健康診断後の事後措置、復職支援、健康イベントの企画運営など幅広い業務があります。
今回は、現役企業看護師である私のある1日をご紹介します。
8:30 出勤
出勤したら、まずはその日の予定を確認します。
面談の予定や健康相談の予約が入っていないか、メールやチャットをチェックしながら一日の流れを把握します。
病棟勤務時代は申し送りから一日が始まっていましたが、企業ではメールやチャットの確認からスタートします。
私は人事部に所属しているため、健康管理に関する連絡だけでなく、人事関係の情報共有を確認することもあります。
企業看護師として働き始めた頃は、この違いに驚きました。
人事部の朝会
メールやチャットを確認した後は、人事部の朝会に参加します。
私の場合は人事部に所属しているため、本社とオンラインでつなぎ、人事担当者全員でその日の予定や共有事項を確認します。
朝会は5〜10分程度で終わることが多く、とてもコンパクトです。
例えば、
「今日は13時から社員対応があります」
「15時から社内打ち合わせがあります」
といった形で、それぞれがその日の予定を共有します。
病棟勤務時代の申し送りとはかなり違うと感じています。
病棟では前勤務者から患者さんの状態を引き継ぎ、自分も次の勤務者へ申し送りを行います。
一方で企業看護師の仕事は、自分でスケジュールを管理することが中心です。
もちろん他の拠点にいる医療職との情報共有はありますが、日々の業務は自分で計画しながら進めています。
最初は戸惑いましたが、今ではこの働き方にも慣れてきました。
9:30 保健室業務スタート
朝会が終わると保健室業務を開始します。
保健室には、ケガをした社員や体調不良になった社員が来室します。
まずは状態を確認し、応急処置や受診が必要かどうかを判断します。
病棟勤務時代のように患者さんを受け持つことはありませんが、その場で判断しなければならない場面も少なくありません。
また、企業看護師の仕事は保健室対応だけではありません。
私が転職して驚いたのが、健康診断後の事後措置です。
病院勤務しか経験がなかった私は、「事後措置って何?」という状態でした。
健康診断の結果を確認し、再検査や受診が必要な社員へ案内を行ったり、産業医へ結果を提出したりします。
さらに、休職中の社員が復職する際には、主治医へ就業上の配慮について確認し、その内容を産業医へ共有して面談を調整することもあります。
病気を治療するのではなく、社員が安全に働けるよう支援する仕事だと感じています。
また、必要に応じて受診同行を行うこともあります。
労災によるケガで救急病院へ同行したり、熱中症が疑われる社員の受診に付き添ったりすることもあります。
海外実習生が受診する際には、手続きや説明のサポートを行うこともあります。
企業看護師というと保健室で待機しているイメージを持たれることもありますが、実際には社員・主治医・産業医・会社をつなぐ調整役としての仕事も多いと感じています。
12:00 昼休憩
お昼は社員食堂で食べています。
病棟勤務時代は、急いで食事を済ませたり、忙しくて休憩が十分に取れなかったりすることもありました。
そのため、企業へ転職して驚いたことの一つが「きちんと1時間休憩が取れること」でした。
もちろん、ケガをした社員への対応などで休憩中に呼ばれることもあります。
実際に私も何度か対応したことがあります。
ただ、その場合は後から時間を調整して休憩を取ることができます。
病棟勤務の頃のように、「今日は休憩が取れなかったな」ということはほとんどありません。
この働き方の違いは、企業看護師になって良かったと感じるポイントの一つです。
13:00 午後の業務
午後も基本的には午前と同様に、保健室対応や健康相談、健康診断関連の業務を行います。
ただ、その時期によって業務内容は大きく変わります。
最近は健康イベントの企画や運営に力を入れています。
イベントの準備だけでなく、参加者のデータ集計や参加賞の準備なども担当しています。
また現在は健康管理システムの導入準備を進めているため、システム会社との打ち合わせも多くあります。
病棟勤務時代は患者さんと直接関わる時間がほとんどでしたが、企業では「仕組みを作る仕事」が増えたと感じています。
健康診断シーズンが終わると、労働基準監督署への報告準備なども始まります。
企業看護師の仕事は保健室対応だけではなく、会社全体の健康管理を支えるための企画や調整業務も大きな役割の一つです。
17:15 退勤
退勤前には、メールやチャットをもう一度確認します。
翌日の予定を確認し、対応が必要な案件がないかをチェックします。
また、保健室の片付けや清掃も行います。
健康診断結果や面談記録など、個人情報を含む書類の保管状況を確認することも大切な業務の一つです。
病棟勤務時代は勤務終了間際に急変対応や入院対応が入り、予定通り帰れないことも少なくありませんでした。
一方で企業では、もちろん繁忙期はありますが、基本的には業務を整理して定時で退勤できます。
退勤後は夕食の準備をして、子どもたちと一緒に食事をします。
習い事の送迎にも行けるようになり、以前より義理の両親にお願いする機会も減りました。
また、夜には家族との時間や自分の時間を持つことができるようになりました。
生活リズムも安定し、夜はしっかり眠って朝早く起きる生活ができています。
今では朝活の時間も確保できるようになりました。
予定も立てやすくなり、病棟勤務時代とは働き方が大きく変わったと感じています。
企業看護師の仕事は想像以上に幅広い
私も転職する前は、企業看護師という仕事に対して、
「保健室で体調不良者やケガをした人を待つ仕事」
というイメージを持っていました。
でも実際に働いてみると、想像していた以上に幅広い業務がありました。
健康診断結果を確認して対象者へ連絡し、体調確認や受診勧奨を行うこと。
休職者の復職支援や就業上の配慮について主治医や産業医と連携すること。
健康イベントの企画や運営。
健康管理システムの導入準備。
会社全体の健康づくりに関わる仕事がたくさんあります。
病院勤務のように、患者さんが元気になって退院される姿を見たり、「ありがとう」と直接言われたりする機会は多くありません。
それでも、
「健康イベントを企画してくれてありがとう」
「病院を受診してきました。これから気をつけます」
そんな言葉をいただけることがあります。
病院とは違った形ですが、誰かの健康を支えることができたと感じる瞬間です。
企業看護師は、社員が健康に働き続けられる環境づくりを支える仕事なのだと感じています。
まとめ
企業看護師の1日をご紹介しました。
転職前の私は、企業看護師という仕事に対して「保健室で体調不良者を待つ仕事」というイメージを持っていました。
しかし実際には、ケガや体調不良者への対応だけではありません。
健康診断後の事後措置、復職支援、主治医や産業医との連携、健康イベントの企画運営、健康管理システムの導入準備など、幅広い業務があります。
病院勤務とは求められる役割が大きく異なりますが、その分新しい学びややりがいもたくさんあります。
もし企業看護師に興味がある方がいたら、「病院とは違う看護の形もあるんだな」と知るきっかけになれば嬉しいです。
オフィスの保健室より ☕
病棟勤務時代の私は、企業看護師の仕事内容をほとんど知りませんでした。
実際に働いてみると、医療行為は少なくても、人の健康を支えるという看護の本質は変わらないと感じています。
病院のように患者さんと長く関わることはありません。
でも、社員の方が元気に働き続けられるよう支援したり、健康への意識が変わるきっかけを作れたりすることにやりがいを感じています。
企業看護師はまだまだ情報が少ない働き方です。
だからこそ、このブログでは現役企業看護師として感じたことや経験したことを、これからも正直に発信していきたいと思います。
このブログが、働き方に迷う誰かの小さな保健室になれたら嬉しいです。



