企業看護師(産業看護師)って、実際どんな仕事をしているんだろう?」
私も病院から企業へ転職するまでは、企業看護師の仕事内容をほとんど知りませんでした。
「保健室でケガの対応をする仕事かな?」
そのくらいのイメージしかなかったのですが、実際に働いてみると、病院とはまったく違う環境に毎日のように驚いていました。
保健室をゼロから作ることになったこと、想像以上にパソコン仕事が多かったこと、そして学校の保健室のように”いつもの社員さん”が来ること…。
病院勤務では当たり前だったことが、企業では当たり前ではなく、その逆に企業では当たり前のことが、私には新鮮なことばかりでした。
この記事では、病棟看護師から企業看護師へ転職した私が、働き始めて最初に驚いたことを7つご紹介します。
「企業ってこんな働き方なんだ!」と、少しでもイメージしていただけたら嬉しいです。
病院とはまったく違う世界だった
① 保健室が最初からあるわけではなかった
私が入社して最初に言われたことは、
「保健室を作ってほしい。」
という一言でした。
「えっ、場所探しから?」「保健室を作る?」
最初は、その意味がよく分かりませんでした。
ところが話を聞くと、まずは保健室として使う場所を探すところから始めるということだったのです。
入社したばかりで、社内の位置関係もよく分からない状態だった私は、「えっ、場所探しから?」と驚きました(笑)。
課の社員さんと一緒に社内を歩き回り、「ここはどうだろう」と候補を探しましたが、「この部屋は年に数回会議で使うから難しい」「別の部署が使っている」など、なかなか決まりませんでした。
それでも何度も調整を重ね、ようやく保健室として使える場所を確保することができました。
※これは、私が入社した会社で企業看護師を初めて採用したためのケースであり、すべての企業で同じとは限りません。
その後は、備品をそろえたり、動線を考えたり、社員さんが安心して利用できる環境を整えたりと、一から保健室づくりを進めることになりました。
病院では、働く環境がすでに整っていることが当たり前でした。
必要な物品があり、マニュアルがあり、分からないことがあれば先輩に相談できる環境があります。
一方で企業では、「まず何が必要なのか」を自分で考えるところから始まりました。
最初は戸惑うこともありましたが、今振り返ると、一から保健室づくりに関われたことは、とても貴重な経験だったと感じています。
②始業時間の出社でよかった
病院で働いていた頃は、始業時間より30〜40分ほど早く出勤することが当たり前でした。
着替えを済ませ、患者さんの情報収集をしたり、夜勤スタッフから申し送りを聞いたり…。
「始業時間に仕事を始める」ためには、早めに出勤することが必要だったからです。
そのため、企業へ転職した当初は、「始業時間ギリギリに会社へ行って本当に大丈夫なの?」と、とても不安でした。
でも実際は、始業時間に出社すれば問題ありませんでした。
朝は自分のデスクでパソコンを立ち上げ、メールやチャットを確認し、その日一日の予定を整理してから仕事をスタートします。
病院時代のように「早く行かなければ」という焦りがなくなり、朝の時間にも少し余裕が生まれました。
最初は不思議な感覚でしたが、今ではこの働き方にもすっかり慣れました。
病院では当たり前だったことが、企業では当たり前ではない。
そんな小さな違いも、私にとっては大きな驚きの一つでした。
朝に余裕ができたことで、「今日も頑張ろう」と気持ちを整えて仕事を始められるようになりました。
③自分で仕事を調整できた
病院では、その日の予定はある程度決まっています。
入院や退院、検査、処置、急変対応など、自分で仕事の順番を決めるというより、その日の状況に合わせて動くことがほとんどでした。
一方で企業では、年間の健康診断や健康イベント、健康情報の発信など、大まかなスケジュールは決まっていますが、「今日は何から取り組むか」は自分で考えて進めることができます。
私も保健師さんと相談しながら仕事を進めていますが、「今日中に必ずこれを終わらせなければならない」という仕事は、病院ほど多くありません。
その代わり、「今週中には終わらせよう」「今月中には完成させよう」と、自分でスケジュールを組み立てながら仕事を進めています。
もちろん、社員さんの体調不良やケガへの対応が入ることもあるため、予定どおりに進まない日もあります。
それでも、自分で優先順位を考えながら仕事を進められることは、企業看護師になって驚いたことの一つでした。
最初は戸惑いましたが、今ではこの働き方が自分には合っていると感じています。
④ パソコン仕事が想像以上に多かった
企業看護師(産業看護師)になって一番驚いたことの一つが、パソコン仕事の多さでした。
病院では電子カルテを入力することはあっても、ExcelやPowerPointを使う機会は、看護研究や学会発表のときくらいでした。日常業務で使うことはほとんどありませんでした。
そのため、入社当初はExcelで表を作ったり、PowerPointで資料を作成したり、メールでやり取りをしたりすることに、とても苦労しました。
私の会社では社員一人ひとりがパソコンを持っており、やり取りのほとんどがメールやチャットです。
最初は、「対面ではなくオンラインで健康相談を受けるなんて、自分にできるかな」と不安もありました。
でも実際にやってみると、社員さんの話を聞き、困っていることを一緒に考えるという点では、病院で電話や対面で相談を受けていた頃と本質は変わらないことに気付きました。
健康診断の結果をまとめたり、健康イベントの資料を作成したり、産業医へ提出する資料を作成したりと、想像していた以上にパソコンを使う仕事が多く、「企業看護師ってこんなにデスクワークが多いんだ!」と驚いたことを覚えています。
正直、最初は苦手意識もありました。
40代での転職だったこともあり、パソコンスキルにはまったく自信がありませんでした。
それでも、本を読んだり、ネットで調べたり、分からないことは周りの社員さんに教えてもらったりしながら、一つずつできることを増やしていきました。
今ではAIも活用しながら資料を作成したり、文章を考えたりすることもあり、当時の自分からは想像できないくらい、パソコンが仕事の大切な相棒になっています。
病院では患者さんと向き合う時間が中心でしたが、企業ではパソコンを使って健康づくりを支えることも、大切な仕事の一つなのだと感じています。
「パソコンが苦手だから企業看護師は無理かもしれない。」
そう思っている方もいるかもしれません。
私もまったく同じでした。
でも、必要なことは働きながら少しずつ身につけることができます。
だから、パソコンが苦手という理由だけで、企業看護師への挑戦を諦めなくても大丈夫です。
⑤ 保健室に「いつもの社員さん」ができた
病院では、患者さんは診察や治療を受けるために来院されます。
一方で企業の保健室には、毎日のように顔を見せてくださる”いつもの社員さん”がいました。
最初は体調不良やケガで来室された方でも、その後は「少し話を聞いてほしくて」「ちょっと休憩してもいいですか?」と気軽に立ち寄ってくださる方もいます。
まるで学校の保健室のような雰囲気だなと感じることもありました。
病院では、一人の患者さんに対して、医師や看護師、リハビリスタッフなど、さまざまな医療スタッフが交代しながら関わります。
一方、企業では、私や保健師さん、産業医など、限られた医療スタッフが同じ社員さんと何年にもわたって関わることになります。
そのため、社員さんの小さな変化にも気付きやすく、「最近少し疲れているのかな」「以前より表情が明るくなったな」といった変化を、継続して見守ることができます。
同じ社員さんの健康を、長い時間をかけて支えられる。
これは、病院勤務ではあまり経験できなかった、企業看護師ならではの魅力だと感じています。
⑥ ケガの対応より健康相談が多かった
企業看護師(産業看護師)というと、「ケガをした社員さんの応急処置をする仕事」というイメージを持っていました。
私自身も、入社する前はそのような仕事が中心だと思っていました。
しかし、実際に働き始めると、ケガの対応はそれほど多くありませんでした。
それよりも多かったのは、健康に関する相談です。
健康診断の結果を持って来られ、
「この結果なら病院を受診した方がいいですか?」
と相談を受けることはよくあります。
また、メンタルに関する相談を受ける機会も少なくありません。
「眠れない」「仕事へ行くのがつらい」「最近気持ちが落ち込んでしまう」など、一人で抱え込んでいた思いを話してくださる社員さんもいます。
さらに、「入院することになりました」「しばらく仕事を休むことになりそうです」と相談を受けることもあります。
そのようなときは、傷病手当金や休職の手続きについて人事担当者へつなぐなど、安心して療養できるようサポートしています。
病院では病気やケガの治療を支えることが中心でしたが、企業では社員さんが安心して働き続けられるよう支えることも、大切な役割なのだと感じています。
⑦ 「治療」ではなく「予防」が仕事だった
病院で働いていた頃は、病気やケガで困っている患者さんと関わることが仕事でした。
もちろん、その仕事にやりがいを感じていましたし、多くのことを学ばせてもらいました。
しかし企業看護師(産業看護師)として働くようになり、一番大きく変わったのは、「病気になってから関わる」のではなく、「病気になる前から関われる」ということでした。
健康診断の結果を一緒に振り返ったり、生活習慣について考えたり、健康イベントを企画したり…。
社員さんが健康に働き続けられるよう、病気を予防するためのサポートが仕事の中心になります。
最初は病院との違いに戸惑うこともありましたが、今では「予防」という視点で健康づくりに関われることに、大きなやりがいを感じています。
病気になってから支えることも大切です。
でも、病気にならないように支えることも、同じくらい大切な看護なのだと、この仕事を通して実感しました。
企業看護師という働き方を選んだからこそ出会えた、この「予防」という看護は、私がこれからも大切にしていきたい仕事です。
病院での16年間があったからこそ、今の仕事があります。
そして今は、「治療」だけではなく、「予防」という新しい形で看護に関われていることを、とても幸せに感じています。
まとめ
企業看護師(産業看護師)として働き始めた頃は、病院との違いに毎日のように驚いていました。
保健室を一から作ることになったこと、パソコン仕事の多さ、自分で仕事を組み立てる働き方、そして社員さんと長く関われることなど、病院勤務では経験しなかったことばかりでした。
最初は戸惑うこともありましたが、一つずつ経験を積み重ねるうちに、企業看護師ならではのやりがいや魅力を感じられるようになりました。
もし今、企業看護師への転職に興味はあるけれど、「自分にできるかな」と不安に思っている方がいたら、大丈夫です。
私も病院しか知らない看護師でした。
でも、一歩踏み出したことで、新しい働き方と看護のやりがいに出会うことができました。
この記事が、企業看護師という働き方を知るきっかけになれば嬉しいです。
オフィスの保健室より☕
私は企業看護師へ転職するまで、「病院以外で看護師として働く」という選択肢をほとんど知りませんでした。
だからこそ、転職してから毎日のように新しい発見があり、「看護師にはこんな働き方もあるんだ」と実感しています。
このブログでは、病棟看護師から企業看護師へ転職した私の実体験をもとに、仕事や転職、働き方について発信しています。
これからも、企業看護師のリアルを一つずつお届けしていきます☕




