「企業看護師(産業看護師)へ転職して、後悔したことはありますか?」
この質問をいただくことがあります。
私の答えは、「後悔はしていません。」です。
でも、もし転職前の自分に声をかけられるなら、「ここは覚悟しておいた方がいいよ」と伝えたいことはいくつかあります。
病院勤務とは仕事内容も働き方も大きく異なるため、転職したばかりの頃は戸惑うこともたくさんありました。
給与や仕事の進め方、パソコン業務など、「思っていたのと違う」と感じたこともあります。
それでも今振り返ると、その一つひとつを乗り越えたことで、今の自分があると感じています。
この記事では、病棟で16年間勤務した私が、企業看護師へ転職して「後悔しそうになったこと」や「転職前に知っておけばよかった」と感じたことを、実体験をもとにお伝えします。
これから企業看護師への転職を考えている方が、後悔のない選択をするための参考になれば嬉しいです。
転職して感じたギャップ
夜勤手当の大きさを改めて実感した
収入が減ることは、転職前から覚悟していました。
病院勤務では夜勤をしていたため、その分の夜勤手当が毎月の給与に含まれていました。
企業へ転職すると夜勤がなくなるため、当然その分の収入は減ります。
これは転職前から理解していたことでしたが、実際に給与明細を見ると、「夜勤手当ってこんなに大きかったんだな」と改めて感じました。
転職前は、「やっぱり給料が減るのは不安だな…」という気持ちもありました。
ただ、その一方で夜勤がなくなり、土日祝日が休みになったことで、家族と過ごす時間や自分の時間は大きく増えました。
もちろん、収入を重視するか、働き方を重視するかは人それぞれです。
私自身は、収入が減ったことは事実ですが、それ以上に今のライフスタイルに合った働き方を選べたことに満足しています。
パソコン仕事が想像以上に多かった
企業看護師(産業看護師)へ転職して感じたギャップの一つが、パソコン仕事の多さでした。
病院勤務では、電子カルテを入力することはありましたが、ExcelやPowerPointを使う機会はほとんどありませんでした。
そのため、転職当初は「こんなにパソコンを使う仕事なんだ!」と驚いたことを覚えています。
健康診断のデータをまとめたり、健康イベントの資料を作成したり、産業医へ提出する資料を準備したりと、想像していた以上にデスクワークが多くありました。
また、社員さんとのやり取りも、メールやチャットが中心です。
病院では対面や電話でのやり取りが多かったため、最初は「これで伝わるかな」と何度も文章を見直していました。
正直、「私にできるかな」と不安になることもありましたが、本を読んだり、インターネットで調べたり、周りの社員さんに教えていただいたりしながら、一つずつできることを増やしていきました。
今ではAIも仕事に取り入れながら、資料作成や文章作成のサポートとして活用しています。
パソコン仕事は想像以上に多かったですが、その分、新しいスキルを身につけることができたのも、企業へ転職したからこその経験だったと感じています。
まずは自分で考える場面が多かった
企業看護師(産業看護師)へ転職して感じたギャップの一つが、自分で考えて判断する場面が多かったことです。
病院勤務では、近くに先輩看護師や医師がいて、困ったときにはすぐ相談できる環境がありました。
一方で企業では、一人で保健室を担当することも多く、「まずは自分で考えてみよう」という場面が増えました。
社員さんの体調不良への対応や受診を勧めるかどうかの判断、健康相談への対応など、一つひとつ自分で考えながら進めていきます。
もちろん、判断に迷うときは保健師さんや産業医、人事担当者へ相談することもあります。
「一人ですべてを抱え込まなければならない」というわけではありません。
それでも、まずは自分で状況を整理し、どう対応するのが良いかを考える機会は、病院勤務の頃より増えたと感じています。
最初は戸惑うこともありましたが、少しずつ経験を重ねることで、自分自身の判断にも自信が持てるようになりました。
職場の雰囲気が想像以上に違った
企業看護師(産業看護師)へ転職して感じたギャップの一つが、職場の雰囲気の違いでした。
働いていた病棟では女性看護師が多く、仕事の合間には何気ない雑談をしたり、休日の話や子どもの話など、プライベートな話で盛り上がることもよくありました。
一方、企業では医療職は私と保健師さんくらいで、周りは人事や総務など、さまざまな職種の方ばかりです。
会話の中心は仕事のことが多く、必要な情報を共有するビジネスライクなやり取りが基本でした。
最初は、「こんなに職場の雰囲気が違うんだ」と少し戸惑ったことを覚えています。
もちろん、仲の良い同僚とは雑談をすることもありますが、病院とはまた違った距離感があります。
病院には病院の良さがあり、企業には企業の良さがあります。
今ではその違いにも慣れ、医療職以外の方と一緒に仕事をすることで、新しい考え方や価値観に触れられることも、この仕事の魅力の一つだと感じています。
ギャップがあっても、転職を後悔していない理由
転職して感じたギャップはたくさんありました。
最初は戸惑ったこともあり、「病院とは本当に違う世界なんだな」と感じることもありました。
それでも、私は企業看護師(産業看護師)へ転職したことを後悔していません。
その理由は、今の働き方が自分や家族のライフスタイルに合っていると感じているからです。
夜勤がなくなり、子どもとの時間が増え、「予防」の看護に携われるようになりました。
また、病院では経験できなかった仕事にも挑戦でき、自分自身の成長にもつながっています。
転職には不安もありましたが、ギャップがあったからといって「失敗だった」とは思いませんでした。
むしろ、そのギャップを一つずつ乗り越えたことで、自分に合った働き方を見つけることができたと感じています。
まとめ
私は企業看護師(産業看護師)へ転職して、後悔したことはありません。
もちろん、転職して初めて気付いたギャップや、戸惑ったこともありました。
40代で新しい職場へ転職することは、私にとって大きな挑戦でした。
それまでの私は、「このまま一生病院で働くのだろう」と漠然と思っていました。
看護師経験16年。「どこへ行っても、それなりにやっていけるだろう」と考えていましたが、企業への転職は病院とはまったく違う世界でした。
でも、それは新しい環境で働き始めたからこそ感じたことであり、一つひとつ経験を重ねる中で少しずつ乗り越えることができました。
病院と企業では、働き方も職場の雰囲気も大きく異なります。
だからこそ、「どちらが良い・悪い」ではなく、自分や家族のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切だと私は感じています。
これから企業看護師への転職を考えている方も、ギャップがあることを理解した上で、「自分に合った働き方なのか」という視点で考えてみてください。
この記事が、その判断をするための一つの参考になれば嬉しいです。
オフィスの保健室より☕
転職は、楽しみよりも不安の方が大きいものかもしれません。
私も40代で病院を離れる決断をしたときは、「本当にやっていけるのかな」と何度も考えました。
実際に転職してみると、想像していなかったギャップや戸惑いもありました。
でも、それは「転職に失敗した」ということではなく、新しい環境に慣れていくための大切な時間だったのだと思います。
病院には病院の良さがあり、企業には企業の良さがあります。
大切なのは、「どちらが正解か」ではなく、自分や家族にとってどんな働き方が合っているのかを考えることではないでしょうか。
私は企業へ転職したことで、新しい仕事や新しい人との出会いがあり、自分自身の世界が少し広がりました。
あのとき勇気を出して一歩踏み出したからこそ、今の私があります。
もし今、転職するか迷っている方がいるなら、このブログが少しでもその背中をそっと押せる存在になれたら嬉しいです。




